私のいとこはネットアイドル

7時30分。私と瀬那は瀬那の家を出て、駅へ向かい始めた。
瀬那の家から駅までは、徒歩で15分くらいで、決して遠いワケではないのに、なぜこんなに早く出かけるのだろうか。
そんなに遠いところなのか?と思いながら私は瀬那のあとをついて行った。


駅に着くと、人目が気になるようになってきた。

「・・・目立ってんな~」

瀬那は小さい声でそう言ってきた。

「当たり前でしょー!てゆうか、恥ずかしいのはこっちなんだからね!」
私も小さい声でそう言って、あたりをチラチラ見た。

周りの人は私を珍しそうに見ている。
そりゃ、無理もないだろう。
なんてったって私は今、あのネットアイドルsenaの格好で歩いているんだから!
ましてはこんな朝早くにコスプレみたいな格好で、こんな格好をするような人があまりいないであろう町の駅中にいるのだから!

私は恥ずかしくなりながらも瀬那の後をついていき、電車に乗った。

電車の中でも私は目立ってしまい、ちょっとうつむきがちになってしまう。
周りの若い子たちの声が聴こえる。

「ねぇねぇ!あの子スゴい格好だね~」
「ホントだ。てゆうか、あの子ネットアイドルのsenaじゃない!?」
「うっそマジで!?かわいい~」
「あの隣の男の子誰!?彼氏かなあ?カッコよくない?」
「いいな~あんな彼氏うらやましぃ」

周りの子たちが口ぐちに言っている。
そういえば、よく考えたら今の私と瀬那はカップルに見られていてもおかしくはない。

「瀬那と私がカップル・・・」

「ん?千李奈、なんか言ったか?」

「な、なんでもない!」

私はどうやら声に出してしゃべってしまっていたらしい。
それに気づき、私は急に顔が熱くなってしまった。
瀬那と私がカップル・・・ナイナイナイナイ!
自分にそう言い聞かせると、私は電車を降りるまで静かに待つことにした。



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