恋するショコラ《完》
「大丈夫だ。お前に手出しはしない。」
真人は女の子の方を向いて、出来るだけ穏やかになるようにしながら話しかけた。すると、彼女も少しだけ落ち着いたのか警戒はしているものの真人の方に目を向けた。
「お前が昨日の夜、俺のうちの前で倒れてたから、俺のうちの前で凍死されでもしたら寝覚め悪いしベッド貸してやっただけ。お前から金取ろうとか体で宿代払えとか言わないから安心しろ。」
そう言うと少しだけ警戒が解けたのか女の子はほっと方の力を抜いた。
「朝飯、シリアルでいいか?てかそれしか無いんだけど。」
戸棚をごそごそと漁ってシリアルを出す。幸運なことに賞味期限は切れていないようだ。
「こっち来いよ。シリアル、嫌いか?」
女の子は何も言わなかったものの、ふるふると首をふった。どうやらシリアルは嫌いではないらしい。
彼女はそろりそろりと真人に近寄ってきて、真人がダイニングの椅子を出してやるとおずおずとテーブルの前に座った。