恋するショコラ《完》
ゆっくりと時間をかけてシリアルを食べ終えた女の子は真人の方にちらりと目線を向けた。
「ぁ、の、これ、ご…ごちそうさま、でした。」
またしても小さな声だったが、先程よりは聞きやすい声だった。
「これ、どうしたら、いぃ、ですか?…あの、洗う、とか、」
「ああ、俺が洗うからそこに置いておいていいよ。そんなもんしかなくて悪いな。」
女の子はふるふると首をふった。あまりに必死なので真人はクスリと笑った。
「…じゅ、十分、あの、お、おいしかっ、た、です。えと…あ、ありがとう、ございました。」
少しだけ聞き取りやすくなった声は、鈴を転がしたように可愛らしく、真人の耳をくすぐった。