恋するショコラ《完》
「いただきます。」
ほのかははふはふいいながらビーフシチューを食べている。真人はそのほのかを見て満足そうに目を細めると、自分もビーフシチューに手をつけた。
一週間前、ほのかはシリアルは食べてくれたが、元々少食なのか真人が作ったご飯はあまり食べられないようで、苦戦していた。
今はだんだんと真人が作ったご飯も食べられるようになり、そのことが真人を安心させていた。
「ほのか、好きな食べ物あるか?食べたいものとか。」
真人が尋ねるとほのかは困ったような顔をして首を傾げた。
「あの、あまり良くわからなくて、好きな食べ物とか。お料理もあまり知らないんです。あ、でも、甘いもの、好きです。」
「甘いものって飯じゃないじゃん。」
真人がクスクスと笑うと、ほのかは恥ずかしそうに顔を赤らめた。真人はそんなほのかを可愛いと思っていたが、それは真人にとって初めての経験だったので、表には出さなかったが少々戸惑っていた。
「今度甘いものやるよ。」
戸惑いを隠すように真人はほのかの頭をぽんぽんと撫でた。