恋するショコラ《完》
ご飯を食べ終えると真人が皿を洗い、ほのかがそれらを拭いていく。ほのかと暮らすようになってから自炊するようになり、その時から自然とこの役割分担が決まったのだ。
最初は二人とも無言だったが、今は少しずつ会話をするようになった。
「真人さんは、何のお仕事をしてるんですか?」
「俺?俺はショコラティエをやってる。ショコラティエって知ってるか?」
ほのかはふるふると首をふった。
「パティシエは知ってる?」
今度はこくんと頷いた。
「パティシエはお菓子職人だろ?ショコラティエはチョコレートを専門に扱う、チョコレート職人のこと。」
「しょこら、てぃ、え。」
「そう。ショコラティエ。今日は職場で余ったチョコ持って帰って来たからあとでお茶淹れて食べような。」
チョコと聞いてほのかはパアッと目を輝かせる。甘いものが好きというのは本当らしい。
食事の後片付けが終わると、真人は紅茶を淹れる準備をし、冷蔵庫からチョコレートを取り出していくつか皿に並べた。
ほのかは興味津々で後ろから真人の手元を覗き込んでいて、真人も黙ってほのかのしたいようにさせている。紅茶を淹れると良い香りがキッチンを満たした。