恋するショコラ《完》
「おいっ!ほのかに触るな!」
真人はほのかにつかみかかる男を引き剥がそうとした。ほのかはがくがくと震え、顔色はあり得ないくらい真っ青だ。
「ほのか!帰るぞ!何こんなところにいるんだ!」
男が怒鳴るたびにほのかの華奢な肩がぴくりと震える。男はほのかの腕を掴み、ほのかをがくがくと揺さぶった。
「こんなところで、男の家になんか転がり込みやがって!」
真人は後ろから男を剥がそうと揉み合う。その間も男はほのかに罵声を浴びせ続けた。
「この男に体を売ったんだろ!この淫乱娘め!」
その言葉は真人の堪忍袋の緒を切った。真人は男の脇腹を殴り、男がよろけたところでほのかを腕のなかに納めた。その上でとどめの一撃を加えると、男は痛みに悶えた。
「早くここから出ていけ。さもなくば警察をよぶ。先に侵入してきたのはあんたの方だ。それにほのかは二十歳越えてるから未成年の誘拐にはならない。父親だか何だか知らねぇが早く出ていかないとあんたに不利だぞ。」
真人がそう言うと男は舌打ちをして真人の部屋を出ていった。真人はすぐに部屋の鍵をかけ、ほのかをぎゅうっと抱き締めた。