恋するショコラ《完》
「ま、ひと、さん。」
ほのかは真人の胸の中で嗚咽を漏らしながら真人のことを呼んだ。
「まひとさん、」
嗚咽の間に必死で真人の名前を呼ぶ姿が可愛らしくて真人はにっこりと笑った。
「まひとさん、まひとさん、」
真人のシャツをぎゅっと小さな手で握っているほのか。
「あのね、真人さん、」
俯いていたほのかが涙でぐちゃぐちゃの顔をあげた。その涙をそっと真人が拭ってやった。
「真人さん、わたしも、真人さんが好き。」
真人は驚きで目を丸くしほのかを見た。そしてほのかの前髪をかきあげて額に優しいキスを落とした。
ふたりの思いが溢れ出て、温かな気持ちが二人を包み込んでいった。
※フォンダンショコラ…温かいチョコレートケーキで、中に液状のチョコレートが入っている。