恋するショコラ《完》
真人は胸の上に乗る重みで目をさました。
うっすらと目を開けるとほのかが自分の胸に耳を寄せてすやすやと穏やかな寝息をたてている。その光景を見て思わず目を細めた。
ほのかを起こさないように抱き締めてから、そっとベッドに寝かせると朝食を作るためにキッチンに向かった。
キッチンに立ってベーコンを焼き、その上に卵を2つ落とす。その間にコーヒーを入れて、トーストを焼く。ほのかがこの家に来るまでは考えられなかったことだ。以前はよくてシリアルで、朝食を食べない日も少なくなかった。
少しするとコーヒーのいい香りが部屋中に漂ってきた。こんな風に朝を過ごすことが出来るのは悪くない。真人は出来立てのコーヒーを二人分のカップに注いだ。自分のはブラック、ほのかのはたっぷりと温かいミルクを入れて砂糖をスプーン二杯。
朝食の準備が出来ると、目が覚めたのかほのかがトタトタと歩いてくる音が聞こえた。すっとドアがあいて、可愛らしく寝癖をつけて寝ぼけたほのかが顔を出した。
「ほの、おはよう」
「おはよ、真人さん」
ほのかは少しはにかんだように微笑んだ。
「よく眠れた?」
「うん、今までで一番、いっぱい寝た。」
「そっか。よかった。ご飯出来てるから顔あらっておいで?」
ほのかはこくんと頷いて洗面所にのろのろと歩き出した。そのようすが可愛らしくて、真人はつい笑って洗面所に向かう後ろ姿を眺めた。