恋するショコラ《完》


洗面所から先程よりもしっかりした足取りでほのかが帰ってきた。テーブルの上の朝食を見て目を輝かせる。


ほのかは真人の家に来た当初、あまり食べるということに興味がないようだった。というか、たくさんは食べられない体質のようだった。ほのかはガリガリに痩せていて不健康そうな体つきだった。


その原因はやはり父親だったようだ。昨日泣きながらほのかは自分の過去や色々なことを真人に話してくれたのだった。父親には十分な食事は与えられておらず、家から一歩も出させてもらえなかったという。父親が怖くて、眠るときも押し入れのなかで小さくなって少しうとうとするくらいだったようだ。


ここへきてからほのかは眠れるようになり、食事も少しずつ量を増やしているので少しだけ以前よりふっくらして健康的な顔色になった。


真人はほのかが食べることに興味をもってくれたことが嬉しいのだった。


「どうぞ、召し上がれ」


「はーい!いただきます!」


ほのかはベーコンエッグに甘いカフェオレ、それとトーストが半分の朝食をゆっくりと食べる。そのようすを見て、二人で他愛もないことを話すことが真人の毎朝の楽しみでもあった。


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