恋するショコラ《完》
スイートチョコレート
あれから…。
あの日から一ヶ月が経った。
ほのかはまだ何をするかは決めていないものの、将来に向けて前向きに考えることができるようになってきた。そしてあの父親はかなり厄介だった。真人はほのかを監禁し、虐待した父親を訴えても良いと考えていたが、ほのか自身が父親とのことを他の人に根掘り葉掘り聞かれることを嫌がったので、嫌な思い出を無理矢理思い出させたくなかった真人は父親を訴えることはしなかった。ただ、知り合いの弁護士に頼んで、父親を訴えない代わりにもうほのかに会わないことを誓約させ、養子縁組を解除させた。
そのことで少し安心したのか、ほのかは明るく笑うようになった。今はただ穏やかな日常が続いている。
「真人さん、今日のお夕飯何がいいですか?」
ほのかは最近料理を覚えようと料理本片手に奮闘している。料理と格闘する姿がおもしろく、一生懸命で可愛いので、最近の真人は料理しているほのかを見ることがマイブームである。
「今日は肌寒いから湯豆腐はどう?」
春先とはいえ今日は冷え込む。鍋をするのにぴったりだ。さりげなく手間のかからない湯豆腐をチョイスしているし。
「湯豆腐ですね!分かりました!」
ほのかは元気に返事をしてキッチンに戻っていった。