光
幸せ
今日は、医者に外出許可を貰って、律と一緒に伊織の家に行くことに。
伊織の、いや、私の父親に会いに行くんだ。
やり残しって、なんか嫌じゃない?
だから、私は父親に会うことにした。
そしたら、律まで着いて来るし。
私一人でいいって言ったのに、付き纏ってくるから。
「そんな顔すんなよ」
「…私一人でいいって言った」
「心配じゃん。あのシスコン野郎は信じらんねぇし?」
「ま、正論だな」
「だろ?」
伊織だけじゃ、確かにヤバイかもしれないね。
家路を二人で歩いていると、不意に律が、手を繋いでくる。
しかも、指絡めさせる。
…久しぶりかもしれない。
律の手…。
暖かい…律の手。
太陽みたいに暖かい…。
律…。
「ん、どうした?気分悪い?」
「え、いや、違う!」
私何やってんの!?
いきなりまどろんで、律にピッタリくっついて。
肩に頭乗っけるなんて…。
私、変に思われた…かな?
「クス…真っ赤」
「う、うっさい!」
「可愛いなぁ〜。紫苑の真っ赤な顔」
「だ、黙れ、バカ律!!」
「紫苑、めっちゃ…可愛い…」
「なっ…!?おおおお、お前!!耳元で囁くな!!」
「耳まで、真っ赤になってるし!」
「うぅ〜…」
なんか、律がS…になってるぅぅぅ!
耳元で囁くなんて反則…私耳弱いのにっ。
しかも、道端でやるし…!
ひ、人が…人の目が…気になる…っ。
おまけに、耳を甘噛みしてきて。
私、思わず“ぎゃっ”って声上げちゃったじゃん…。
「マジ…可愛い…」
「は、離れろ!伊織ん家行くんだろ!」
「え〜…やだぁ…」
「律!」
「…コホン。人ん家の前でやんないでくれますかね」
「…ゲッ、シスコン野郎…」
「ナイス伊織!」
なんと、いちゃついてたら、(一方的に)伊織の家の前…。
迷惑そうに私達を見る、冷た〜い目。
伊織…ゴメン…。