「俺、紫苑の竜胆になっちゃダメかな」

「竜胆…?」

「あなたの哀しみに寄りそう。紫苑見てると、ほっとけないよ。成瀬君みたいには慣れないだろうけど、俺が紫苑の傍いちゃ、ダメ?」


告白ってこと?
付き合えってこと?


「ホントに、言ってんの?」

「成瀬君にはもうすぐ、新しい出会いがくる。その出会いで、彼は新しい未来を手に入れる」


律が幸せになるんだ…。
律が…。


「で、でも私!律に未練めちゃくちゃあるんだ!それなのに、楓だけを見ろなんて…自信がないよ…」


自信が全くない。
私も同様に、未練は沢山ある。
離したくなかった手を離したときから。
律の手。
錫也、伊織の手を離したときから。
それでも、私を受け入れるの?
受け入れてくれるの?


「俺だって、元カノに未練あるよ。だけど、何時までも持ってるわけにはいかないよ!」


楓の言うことは正論だ。
私が律に、未練を持たずに違う道を行けと言っても、私は悲しむだろう。
未練が残るから。


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