紫苑が現れた8週間後、あいつが言ったように、出会いが訪れた。
同じ職場で働く子。
名前は新城 真弥(あらき まや)。
俺より1つ年下。
面倒見がよくて、世話焼き、明るくて、元気がある。
紫苑とは真逆の性格。
でも、人一倍傷つきやすいのは、紫苑との共通点だ。
彼女とは、今は付き合ってる。
彼女の方から告白をしてきた。


「律さんは、結婚とか考えてますか?」

「え…?」


仕事の帰り道、一緒に帰ってると真弥は突然言い出す。
さすがの俺もビックリした。
俺は以前、付き合う前に紫苑のことを話したことがある。
それを知ってるのにこの子は…。


「あの、紫苑さんのことはわかってますよ!わかってるんですけど…」

「君が満足出来ないかもしれない。君が望むように、愛せないかもしれないよ」


忘れろと言われたが、まだちょっとね。
残ってるっちゃ残ってる。
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