「紫苑は今、幸せだろうか」

「幸せみたいだぜ、彼氏出来たみたいだし」


なるほどな、と納得した院長。
彼氏いれば、幸せだよなぁ。
傍に寄り添ってくれんだから。


「お前は早く、未練を捨てろよ?彼女に愛想つかれちまう」

「わーってるよ」


はい勝ち!
俺は残りの一枚で逆転勝ちをした。
オセロじゃ負けるか…。
院長はそう苦笑いすると、今度はチェスでもどうだ?と誘ってきた。
あんたは歳なんだから、何やっても負けるよって俺は言い返した。


「しかし、早いもんだな。もう3年じゃないか?」

「ああ。結婚式終わって、一段落ついたら、紫苑んとこ行くつもり」

「結婚しましたなんて、ベタ過ぎるぞ?」

「んなこと言わねーよ。黙って手を合わせる」


あいつと俺。
言わなくてもわかるさ。
お互い何が言いたいのか。
それぐらい。
ずっと一緒だったんだから。
以心伝心。
だから、黙って手を合わせるだけ。
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