そして月日は過ぎ、あっという間に結婚式の日程になっていた。
式はそんなに盛大にやらなかった。
天海、伊織、兄貴、春陽さん、明莉、院長夫婦に、同僚を呼んだだけだ。
式が終わったあと、急いで着替え、俺ら成瀬家で紫苑のとこへ。


「まーちゃん、しおんってだーれー?」

「紫苑さんは、律さんの大切な人だよ」

「そうなんだ!」


どんな人、どんな人!ってしつこく聞いてくる明莉。
さすがに教えるのがだるかったから、兄貴にふった。
俺は今、紫苑と2人きりになりたい。
だから、静かにしてもらった。
静かに手を合わせ、目を瞑った。


『おめでと、律』

『ありがとな、紫苑』


向き合って微笑み合う。


『しおんの花言葉、大切にしてね』

『前も言ったじゃんか。あなたを忘れないだろ?』


頷く紫苑。


『離れてたって、記憶が私達を繋いでるから。だから、寂しくなったら思い出してね。だけど、奥さんを悲しませないでよ』


『わかってるよ』
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