あの日、時間が止まったような気がした。
姉さんの意識がなくなったときから。
必死に律先輩が、姉さんに話しかけてて。
俺と錫也先輩は黙って見てた。
ピーッと鳴ったとき、俺は自分の無力さを味わった。
何も出来ない。
ただ、見届けることしかできなくて。

姉さんは母さんと同じ病気にかかっていた。
母さんは手術、薬を飲んでも、治らなかった。
姉さんは手術した後に、薬を飲まずいて亡くなった。
なんで飲まないのと聞いたことがある。
そしたら姉さんは、遠くを見て言ったんだ。


『死が目の前にある気がして。逆らえないんだよね、それに』


抗おうとしなかった姉さん。
律との約束を破るけど。
と悲しいそうに言ったのを覚えてる。
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