「お先失礼しまーす」

「あ、お疲れ様でした!」

俺が小児科医になったのは、子供が好きであるのと、子供のうちに病気を治して欲しいからだ。
母さんは幼少期から体が弱かったと聞いている。
結構病気になる回数も多かったとか。
母さん、治らないまま大人になったから、病気になったんだ。
そしてそのまま逝ってしまった。
子供のうちに、病気自体が治ってれば、逝かなくても済んだのかもしれない。
だから、今の子供にはそうしてほしい。


一方の姉さんは昔から、健康児だった。
病気にかかりやすいリスクも少なかったはず。
だけど、重い病気にかかった。
手術したものの、再発。
2回目の手術をしたが、姉さんは自分から死を選び、気休めでしかない薬を飲まなかった。




< 171 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop