『伊織、いつまでいるの』

『え?あ〜わかんない。姉さんの傍いたいから♪』

『つまらないじゃん』

『ん〜じゃ、姉さんに抱きついてる!』


ふざけて抱きついたとき、姉さんの心臓の動きが通常より遅かった。
たった1週間で、こんなに心臓が遅くなるのかって思った。


『…遅い?』

『…うん…母さんと同じ速さ…』

『もうすぐなのかもね』


その言葉とおり、姉さんは2週間後、ほとんど話せなくなっていた。
起きあがったりするのも辛いみたいで、ほぼ寝たっきり。
子供の頃の俺は、死への恐怖感なんてなかった。
だけど、日にちが過ぎてくにつれて、俺は姉さんが衰弱してく姿に、恐怖感を抱いた。


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