1日。
また1日。
またまた1日。
そうやって過ぎてく月日。
俺は怖かった。
姉さんに笑顔を見せられなかった。
だって、衰弱してくんだ。
そんな姿を目の前にして、笑顔でいられる?
無理だろ。
みんなそうだった。
様子を見にくる看護師は、笑ってるふりをして。
医者も笑ってるふり。
雅さんは笑顔になるたびに、泣きそうな顔する。
錫也先輩はすでに笑えない状態で、ずっと姉さんといて。
律先輩だって、不安を抱えながら笑うけど、目が笑ってなくて。
俺は…俺も、笑えなかった。
作り笑顔するのが辛かった。
姉さんは何でもかんでも、人の心を読む人だったから。
だから、無駄に笑えなかった。
無理して笑えば、姉さんは笑うなって言うんだもん。絶対。


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