「僕は紫苑の父親の隠し子。紫苑を引き取った家は、僕のいとこん家。たまたま遊びに行ったら、紫苑がボコボコにやられててさー僕、助けもしないで傍観してたよ。冷たい軽蔑した目でね」



コイツが過去を知ってる。
紫苑を変えた過去を。
コイツはなぜ助けなかった?
お前に何かしたと言うのか?
紫苑を助けたら、紫苑は昔のままの明るい奴でいられたんじゃないのか?
疑問が俺を取り巻く。
なぜ?
どうして?



「り…つ…律…!」

「…あ……ゴメン…」



俺は紫苑の声で我に戻った。
今にも泣きそうな紫苑。
紫苑をここから逃がさないと。
紫苑が壊れる前に。
早く…早く…助けないと…。
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