絶対、逃がさない!②(短編)
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この頃、よく聞かれる質問がある。
「おまえと、一組の福田陽菜さんってどういう関係?」
とか、
「もしかしなくても、福田さんと、海老原って付き合ってるわけ?」
などだ。
おれは意味深に笑いつつ、こう問い返すようにしている。
「さあね、どうだろ? どういうふうに見える?」
余裕たっぷりに微笑をうかべていれば、それでだいたいのやつは納得する。
やっぱりつきあっているのだーーーと、勝手に納得してくれる。
当然、今は、おれと陽菜は付き合ってはいない。
勝手に人が勘違いするのは、おれ的にはOKだ。いずれ、そうなるつもりでいるから、将来的にウソじゃない。
学食から教室に戻ったら、佐藤がおれのところに駆け寄ってきて
「やっぱり、噂は本当だったわけ?
おまえと、福田陽菜さんって、やっぱり、やっぱり、そういう関係だったんだ!」
と、勝手に結論に達していても、おれは否定はしない。
余裕たっぷりの笑顔をみせるだけだ。