絶対、逃がさない!②(短編)
 佐藤はぐっとこぶしをにぎり、ぷるぷると震わせた。



「む、むかつく、その笑顔!

 この嫉妬と妬みの気持ち、次の体育で白球にぶつけてやる。

 覚えてろ、海老原。次のサッカーではおまえの守るゴールにおれが、ボールたたきこんでやるからな!」

「・・・なんで、おれがいきなりゴールキーパーなんだよ」

「うるせぇ、おれがきめた。・・・あ、でも、陽菜さんといつも一緒にいる友達紹介してくれるなら、許すよ」

「なんだ、そりゃ」



 急に真顔でいわれて、ガクッと肩の力がぬけた。



「おまえ、さっき、礼してくれるっていっただろ? それでいいよ」

「そりゃいったけど」



 食器の片付けくらいで、人紹介しろといわれても。

 だいたい、おれだって今日初めて陽菜の友達とはなしたんだから。

 紹介しろっていっても、それはちょっと無理だよなぁ。

 だいたい、今日だって陽菜とは初めて学食で会ったんだ。

 陽菜は基本的に弁当持参だ。

 一度、誰がつくっているのかって聞いてみたら、自分でつくっているって陽菜は答えた。

 材料費払ってもいいから、一度、陽菜の手作り弁当食べてみたい。

 

 

 

 
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