絶対、逃がさない!②(短編)
「そうだった! めんどくさいよなぁ」
佐藤が肩をすくめた。
「七組って、ほとんど男なんだから教室で着替えてもいいじゃん。
へるもんでもないし。
おれの肉体美を全校女子に披露してもかまわないのに」
「見たくねぇよ、誰も」
おれはぼそっとつぶやいた。
元女子高のわが高は、きちんとクラスごと男女別の更衣室が用意されていて、体育などで着替える場合は、必ず、そこまでいって着替えなければならないのだ。
しかも男子更衣室は隔離するかのように、校舎の一番端っこに新設されている。
いくのも、時間がかかる。
しかし窓越しには女子だらけの二、三年の校舎がみえ、廊下を行きかう女生徒がはっきりと確認できる中で、着替えるというのはさすがに遠慮したい。