絶対、逃がさない!②(短編)
 
 くすくすと、あごに手を当てて、笑っている。



「べ、べつに心配なんてしてないし」

「そう? まぁ、おれたちのことなんて、どうでもいいよね?」



 長岡が急に笑いをひっこめた。

 真剣な顔をして、おれをみた。



「海老原、あんまり、本人の了解もなく、いわないほうがいいと思うよ」

「え?」

「きっと、彼女みたいな子はそういうふうに、噂されたり、いろいろと根も葉もないことを言われることに、いい気持ちはしないと思うよ。

 付き合ってないなら、きちんと、否定すべきだと思うよ」

「・・・彼女って誰だよ?」



 わかっていたけど、聞いてみた。



「福田陽菜さんだよ」



 長岡はおれが思っていたとおりの、名前をいった。


 

 
< 17 / 60 >

この作品をシェア

pagetop