絶対、逃がさない!②(短編)
やはり、長岡和也は要注意リスト№1だ。
今のところ、おれ以外に、陽菜の近くに一番いるのはこの男だ。
しかも、ほかの男みたいに、追い払えないんだよな。
陽菜は中学時代にも生徒会活動をしていたようで、高校になってからも生徒会に入った。
長岡もずっと中学のとき、生徒会長をしていたので、生徒会にスカウトされて、今のところ唯一の男子生徒会役員をしている。
陽菜も長岡には気を許しているのか、放課後、生徒会室で話をしているのを見かけることがよくあった。
なんていうか、優しげな外見で、危険人物って感じがしないのか、女子校育ちの陽菜も
警戒していないようだ。
そういうやつが一番、危ないんだよ。
「つきあってないのに、うそはいけないと思うよ。
海老原と、福田さんの関係ってよく知らないけど、今のところ、海老原の片思いだろう?」
ずばり言われて、おれは長岡を恨みがましく、睨んだ。
「・・・片思いで悪かったな? けど、じきに両思いになるし。それに、おまえにそんなこと、ぜんぜん関係ないだろ?
ほっとけよ」
「ほっとかないよ」
長岡がにっこりと笑っていった。
不敵な笑みだ。