絶対、逃がさない!②(短編)
「おれも、彼女のこと、好きだから」
「ーーー!」
・・・いま、なんていった?
「おれ、一目ぼれなんて、初めてなんだ」
長岡の声と重なるように、試合終了の笛の音が鳴った。
「いこうか、海老原」
少しも変わらない態度で長岡がおれを促す。
他愛のない、世間話をした後かのように。
集合しているみんなのもとにすたすたと歩いていく、背中を呆然と見送る。
ライバル宣言をされたのだろうか?
あまりに自然にさらっとされてしまったから、どう反応していいのかわからなかったんだ。
でも・・・今日からは長岡和也は要注意人物リストじゃなくて、危険人物リスト№1に決定だ。
くそ、なんだか余裕たっぷりの態度が気に入らない。
あいつなんかに、絶対、負けないからな!