絶対、逃がさない!②(短編)
 ・・・とはいえ、四六時中、陽菜のそばにいるわけにはいかない。



 朝はともかく、放課後は厳しい。

 陸上部を発足しようと動かなきゃいけないし、陽菜のほうは、生徒会活動で忙しそうだ。

 外部入学の生徒との交流を深めるためとかいろいろと、行事を計画中らしい。

 唯一の男子生徒会役員の長岡とは、放課後、生徒会室でいろいろと資料に目を通しながら、話をしているのを、グランドから、ガラス窓越しによく見かけた。

 いつも、カーテンを開け放してあるから、両目とも1.5のおれにはばっちり生徒会室の中が見えるのだ。

 おれも生徒会に入ればいいんだろうが、生徒会に入るのは現生徒会の三役の推薦がいるようで・・・おれには声がかかりそうにない。

 長岡が陽菜に対して、特別な行動を起こす様子も今のところない。

 でも油断していると、いつ、足元をすくわれるかわからない。

 はやく、おれもきちんと陽菜に気持ちを伝えないといけない。

 けど・・・なかなか、いいづらい。

 正直、嫌われていた自信はあったが、好かれるようになった自信はまだ、ない。

 告白して、速攻、ごめんなさいとかいわれたらーーーおれは、本気で立ち直れない。

 それに・・・それに、おれ、告白とかしたことないんだよ。

 告白されたことはあるけど。

 なんていえばいいんだ。

 くそ・・・あらためて、気持ちを伝えるとなると・・・なんだか、どうしていいかわからない。

 ああいうのって、タイミングとか勢いっていうものが必要なんじゃないのか?






 
 
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