絶対、逃がさない!②(短編)
立ち聞きなんか、するつもりじゃ・・・なかったんだ。
ただ、グランドから生徒会室を見たら、陽菜と長岡二人だけだということがわかってたから、遠慮なく、室内に入ろうと思って、ドアノブに手をかけたら、二人の会話が聞こえてきたんだ。
聞いているうちに、頭が真っ白になって、その場から動けなくなった。
断片的に聞こえてくる、陽菜と、長岡の声。
「つ、つきあってないです。
つきあうなんて、そんなことないです」
たしかにつきあってないけど、陽菜からのはっきりとした否定は、おれの心に突き刺さった。
「私、好きだとかよくわからないし。
光くんの気持ちもわからない。
私の中では、光くんはいじわるな、光くんで・・・今は違うけど・・・。
でも、でも、みんながいうように好きだとか、つきあうとか考えたことないの」
いじわる? そりゃ、昔はそうだったけど・・・今は今は精一杯優しくしたいっておもってる。
なにより、おれの気持ちがわからない?
陽菜、おまえ、鈍すぎるよ。
おまえ以外のやつには、はっきりとおれの陽菜に対する気持ちははっきりとわかっているよ。
気づいてないのは、陽菜だけだよ。