絶対、逃がさない!②(短編)
 
 陽菜が好きだよ。



 嫌がられても、それでも、陽菜が好きなんだ。

 なくしたくない、もう陽菜のそばからはなれたくないんだ。



 頭がずきずきと痛んだ。

 どうしていいかわからず、立ち尽くしていると、ドアが開いた。



「ーーー陽菜さんにはおれのほうがあっていると思うよ」



 言いながら、両手にたくさんの紙の束をもった長岡が出てきた。

 おれに気がついて、目を見開いた長岡は、それから少し微笑みを浮かべて、横を通り過ぎた。

 その笑顔は、挑発的でもなく、あくまでも、普通の微笑みだったんだけど、おれの頭に血を上らせるには十分だった。



 長岡なんかに、絶対、陽菜は渡さない!



  
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