絶対、逃がさない!②(短編)

 陽菜におれを刻み付けるかのように、乱暴にキスをした。

 陽菜は固く口をとざして、おれに応えてはくれない。

 それでも、おれは止めることはできなかった。

 ややして、苦しげに息を求めて、口を開いた。

 その隙に、おれは陽菜にもっと深くキスをしようとしたが・・・すぐに、鋭い痛みが走った。



「!」



 錆びのような、血の味がした。

 陽菜が、おれの唇を噛んだんだ。




 ぱっと、陽菜をはなした。

 陽菜は冷たい床に、ぺたんと静かに座り込んだ。

 頬を、溢れ出した涙がどんどん、零れ落ちていく。

 床に、雫をおとしていく。



 ---泣かさないって決めたのに・・・おれは。



 最低だ。

 でも、今更、優しい言葉なんてでなかった。



「おれは、謝らないからな」


  
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