絶対、逃がさない!②(短編)
「 いただきます」
手を合わせて、スプーンを持った。
ようやく食堂に到着したやつらをよそにおれは食事を開始する。
この、衣はさくっとして、中身はジューシーなとんかつがうまいんだよな。
カレーのルーもじっくりと煮込んである感じで、辛味も程よいかんじで、スパイシーでいけるんだよ。ごろごろ入っているやや大きめのジャガイモや肉もいい。
うちの両親は共働きで弁当つくるひまなしなので、学食がおいしくて安いメニューがそろっているのは、幸せだ。
コンビニ弁当は、夕飯でよく食べるから、昼食もというのは遠慮したい。
「海老原、おまえ、早すぎ」
いいながら、おれの前に座ったのは、クラスメイトの佐藤だ。
トレーの上に乗っているのは、ただの、カレーだ。
「カツカレー、間に合わなかったのか?」
「タッチの差で、ね。くそ、限定五食っていうのは、厳しすぎる。
海老原は今日も一番か。次はおれの分も食券かっておいてくれ」
「いやだね。自分の食べ物くらい、自分で手に入れろよ」
「けち。そんなこというなよ。おれだって、本当は手に入れられたはずなのに、前のやつが、大盛りカツカレーの食券、二枚も買うんだぜ?
ひどすぎる」