絶対、逃がさない!②(短編)
数日後の、雨の日。
五月の終わりは、梅雨入りが近いせいか、雨が多いんだ。
おかげで、いつもは自転車通学のおれも、電車通学となる。
駅の出口で、陽菜を待つ。
さっきまでふっていた雨も、小降りになり・・・やがて、やんだ。
改札から、あふれ出す家路を急ぐ人々。
その中に、すぐに見つけた。
今日は長い髪を後ろで、リボンで束ねていた。
久しぶりに、まともに見ようとしてみる、陽菜は、変わらず、かわいくて、綺麗だった。
赤い傘を手に持って、陽菜はゆっくりと歩いてくる。
途中、おれに気がついて、少し、驚いたような顔をした。
真っ直ぐにおれをみている。そらすことなく。
おれと、陽菜の視線がしっかりと絡み合う。
だんだんと、近づいてくる陽菜。
何を話そう。まず、謝らなくちゃ・・・
がーーー急に、陽菜が先に、視線をそらした。