絶対、逃がさない!②(短編)
「そんなの知らないもん!
なんで、追いかけてくるの?
避けてたのは光くんじゃない!?」
そらすことなく、陽菜は強いまなざしでおれを見上げていた。
今までと違う、反応におれは驚いた。
いつも、陽菜を追いかけてつかまえると・・・いつもおびえた顔をしてうつむいて、震えるかだったのに。
どういうこと!?
おれはとまどいながらも、なんとか、言い返した。
「う、うるさい。追いかけたのは・・・つい、習性で」
そう、習性としかいいようがない。
反射的に、逃げる陽菜を追いかけてしまうんだ。
「で、なんのようだよ?」
「よう? ようってなに?」
陽菜は臆することなく、さらに言い返してきた。
感情が高ぶっているせいか、頬に血が上って、目がきらきらしている。
その姿は、まばゆいくらいに綺麗だった。
陽菜の新たな一面におれは、魅了されていく。