絶対、逃がさない!②(短編)
「人のこと、勝手に追いかけてきたの、光くんでしょ?

 私しらない!」



 陽菜はきっぱりと言い切った。



 し、しらないって・・・。



 だんだんと、陽菜の勢いにおされていく、おれ。

 口を挟む、隙もない。



「光くんなんて、知らない!

 ぜんぜん、わからない! わけわからない!」



 陽菜は、道行く人が何事かとこちらを気にしながら通り過ぎていっても、かまうことなく、続けた。

 強く、おれを睨み続けていた目が、潤んだ。



「わけわかんない! いじわるかと思えば優しいし! 

 で、でも、急にキスしたりするし! 怒るし。怒りたいのは私だし。

 私が避けようと思ったら、そっちのほうがあからさまに避けるし!

 意味不明ーーーぅ、ふぇ」



 陽菜が感情の高ぶりをこらえきれなくなったのか、陽菜の大きな瞳からぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちた。

 後から、後から、あふれ出していく。





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