絶対、逃がさない!②(短編)
 
 ひどいことをして、謝りたいってずっと思っていたんだ。



「陽菜が悪いわけじゃないのに・・・長岡との話を聞いて・・・あせって。

 ・・・あんなことしちゃって・・・。顔を合わせられないとも思ったし・・・それに、押してだめならひいてみろ・・・っていわない?」

「し、しらない」



 陽菜がうずくまったまま、首を振った。

 涙が止まらないのか、陽菜は顔をあげてくれない。

 泣かしたくないっておもったのに・・・



「ごめん、ほんとうに、ごめん」



 陽菜が許してくれるまで、何度でも謝るつもりだった。

 陽菜が、少し、顔をあげた。

 涙でぬれて、真っ赤な目だ。

 おれと目が合って、恥ずかしそうに、また、顔を伏せた。




「顔をあげて、陽菜?」

「いや」
 


 陽菜は嫌がったけど、いつまでも、ぬれた地面に座ったままじゃ、冷たいだろうし、風邪をひく。

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