絶対、逃がさない!②(短編)
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また、やってしまった。
陽菜の笑顔が可愛すぎるから、つい、ね。
不可抗力なんだけど・・・駄目かな。
・・・駄目だ、よなぁ。
「知らないっ」
陽菜は真っ赤な顔をして、頬をふくらませて、ずんずんと、先を歩いていく。
長い髪が、ふわふわと風に揺れている。
おれは、自転車を押しながら、小走りで、陽菜に追いついて、横に並んだ。
「ごめん。つい、陽菜がかわいすぎるから、キスしちゃった」
「・・・」
陽菜が、耳まで真っ赤になった。
こういう陽菜の反応って、いい。
なんだか、どんどん、からかいたくなる。
「四葉のクローバー、今度、見に行ってもいい?」
「・・・いいけど、もう、キ・・・スしたりしない?」
陽菜が聞いた。
当然、おれは首を振った。