絶対、逃がさない!②(短編)
おまけ(佐藤視点)
 おれは佐藤 要。

 今日も四時間目の終了の合図を息を潜めるようにして待つ。

 スタートダッシュが勝負だ。



 チャイムがなった。



 起立礼? そんなのに、かまっていたら、おれの勝利は遠のくばかりだ。

 机の上の、教科書、ノートなんてそのままで、おれは教室の出口に向けて駆け出した。

 ばんっと、鼓膜に響く音を発てて、教室の扉を開け放った。

 廊下に飛び出す。



「こら! 佐藤、あいさつ、おわってないぞ!」



 後ろから、教師の怒鳴り声がしたが、そんなの聞こえないふりだ。

 今日こそ、今日こそは、愛する、おれの胃袋を幸せにしてくれる、限定五食、大盛りカツカレーをゲットしてやるのだ!

 あの、さくっとしたカツ。スパイシーなルー、ごろごろはいっている、野菜、肉。炊き立てのサフランライス。選べるので、白米でも可。奏でる絶妙なハーモニーが、おれをとりこにして離さないのだ。

 一年の教室からは食堂はめちゃ、遠い。

 だが、おれは未来のサッカー日本代表、脚力とスタミナには自信がある。

 絶対、ゲットしてやる。

 

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