絶対、逃がさない!②(短編)
 赤く、品切れの、ランプが点灯していた。



 おれの、愛する大盛りカツカレー! また、ゲットできなかった。

 もしかして、もしかしなくても、お姉さま、今、大盛りカツカレー買いましたかぁ!

 またですか! それそれそれって、だれが、食べるんですかぁ!

 どう考えても、それって大盛りだけど、特盛りって感じで、三人前以上あるんですけどぉ!



 呆然と立ち尽くすおれに、声をかけたやつがいた。



「佐藤。買わないのかよ! じゃあ、どかないと、後ろに迷惑だぞ」



 海老原だった。

 おれの腕をぐいっと、ひっぱる。

 おれの後ろには、いつの間にか十人以上の列が出来ていたんだ。




「海老原ぁ、またまた、大盛りカツカレーゲットできなかったよぉ。

 おれとは、結ばれない運命なのかなぁ」



 泣きたい気分でそういうと、海老原がかすかに笑って、おれの前にこぶしをつきだした。

 その指先には小さな四角い券。

 

「ほら、やるよ」



 ぶっきらぼうに、海老原は言った。

 
 
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