絶対、逃がさない!②(短編)
 つやつやと、そしてふっくらとした黄色い卵焼き。こんがりとして、おいしそうなから揚げ。えのきだけのベーコン巻。ほうれん草のおひたしに、きんぴらごぼうまで入ってる。おれの大好物の野菜の肉巻は、にんじんとさやえんどうだ。こんがりとやけた鮭の切り身。程よい焦げ目のついたソーセージは、もしかしてその形は、タコとカニ!? かわいい。いろどりに入れてるんだろうか、にんじんのグラッセはお星様に、ひよこの形だ。ころころと入ってるミニトマトもいいなぁ。
 
 つづけて、海老原が上の箱をもちあげて、下をみるとそこには形よく握られたおにぎりがはいっていた。ちょこんと、三角形のてっぺんから顔を出しているえび。さけ。ほかの具は、やっぱり、定番のうめぼしと、おかかかなぁ?

 なんなんだ、この豪華でおかずいっぱいのお弁当は!? 今日は体育祭じゃないぞ!?

 しかも、どうみても、どれも手作りだよなぁ、冷凍食品じゃない。おれ、親がいっつも冷凍食品つかってくれちゃったりしてるから、すぐに区別つくんだよなぁ。

 うまそう。うまそう。うまそう。

 大盛りカツカレーより、こっちの弁当のほうがたべた~い!

 おれがよだれをたらさんばかりに弁当を眺めているのに気がつかずに、海老原はぼ~と見とれるように弁当を見つめていた。
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