絶対、逃がさない!②(短編)
おれは陽菜に後ろから声をかけようとした男を思いっきり睨みつつ、すばやく横から手を伸ばして、陽菜のトレーを支えた。
「それじゃ、つくまでにのびる」
「ありがとう、光くん。でも、平気だから」
陽菜は遠慮してそういったけど、遠慮なんて要らない。
それにおれがいなくなったら、すぐにほかのやつらがチャンスとばかりにやってくるだろうから。
ほかのやつに、話しかけるチャンスなんか、ぜったいやらない。
陽菜のそばにはいつもおれがいるということを、しっかりとアピールするんだ。
付け入る隙はないってことをちゃんと目で確認させるんだ。
絶対、なにがあっても、ほかのやつに、陽菜はやらない。
おれの、陽菜だ。
まだ、おれのじゃないけど・・・ぜったい、ぜったい、誰にもやらない。