龍太郎一味のグダグダ会議
一時間ほどして。

佐伯邸の縁側に、小岩井と雪菜の姿があった。

「よろしかったのですか…?…このような着物までお借りして…」

男物の浴衣を身につけた小岩井は、長い髪を結って縁側に座っていた。

「ええ、今ではもう着る人もいなくなってしまいましたから…きっと小岩井さんに着てもらって、喜んでいますよ」

笑顔で告げる雪菜。

…もしかしたら彼女の父親のものだろうか。

訊くに訊けぬまま、小岩井の瞳は宙を彷徨う。

と。

「小岩井さん」

雪菜の手から、小さな杯が渡された。

「お酒は、召し上がる方ですか?」

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