龍太郎一味のグダグダ会議
が、無論、それは叶わなかった。

「…悪霊を生者の世界で力を振るう『悪しき存在』と認定…強制的に在るべき世界へと送り返す権限を行使します」

水柱の尖端が鼻先まで突きつけられたその瞬間。

「!!!!」

小岩井の右手に瞬時に顕現した処刑人の剣が閃き、数本の水柱を断ち斬った!

切っ先のない、円みを帯びた先端。

月明かりを浴びて鈍く光る刀身に刻み込まれた、『Wan Ich Das Schwert thue Auffheben So Wünsch Ich Dem Sünder Das Ewige Leben(この剣を振り上げし時、我は科人に永久の生を祈らん)』の文字…。

「何だお前ぇぇえぇええぇえっ!」

ようやく事の次第を理解した悪霊は、踵を返すが如く水中に逃亡しようとする!

「畜生、死神…しかも地区長級かぁああぁっ!」

「いえ」

タンッと。

軽い足音と共にプールサイドから跳躍した小岩井は。

「自分は末席です」

擦れ違い様の横薙ぎの刃で悪霊の巨体を両断!

対岸のプールサイドに着地する頃には。

「ひぎゃあぁぁあぁあぁぁあぁあっ!」

霧散するように、水飛沫を上げながら。

悪霊はその醜悪な身を滅ぼされ、穢れた魂魄を回収されていた…。



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