龍太郎一味のグダグダ会議

アリスカの駆るバイクは、時速80キロで細い路地を走り抜ける。

違法駐車の車の間をすり抜け、繁華街で酔っ払っている会社員を回避し、赤信号を無視して行き交う車両を華麗に避け、ガードレールを飛び越えて急斜面を駆け下り、歩道橋の階段を一気に登り詰めた所で。

「……」

ようやく彼女はバイクを止める。

腕時計を見ると、午前0時10分。

アリスカはバイクから降り、バイオリンケースを開く。

中には愛用の狙撃銃・ドラグノフ。

その場でそれを組み立てる。

手馴れた様子でパーツを組み上げる手つきに、迷いはない。

僅か1分以内に狙撃可能な状態にしたアリスカは、歩道橋の手摺り越しに、ドラグノフを構えた。

眼下には、天神地区を走る主要幹線道路。

…その道路の正面から、車のヘッドライトが見える。

相当な速度で走っているのは、大型のトレーラーのようだった。

車両後方にはコンテナを積載している。

そのトレーラーの前部車輪と正面のエンジン部のみを。

アリスカは躊躇なく、的確に狙撃する！

真夜中の幹線道路に響く、悲鳴のようなブレーキ音。

しかしそのブレーキさえも間に合わず、大型トレーラーは横転し、その巨体を屍の如く道路に晒す事になる。