龍太郎一味のグダグダ会議
ある年には、一族の住む村に魔物が出没するようになる。

一族の、まだ結界も満足に使えない女子供をさらって餌とする鬼の類だ。

大人の結界使いが出張って、封じてしまえば事は済む。

しかし。

「防人にやらせればいいでしょう、どうせ『全て穢れ子の責任なのだし』」

一族の大人達は、まだ五歳にも満たない防人に鬼狩りを命じる。

災いや不幸を運ぶ穢れ子だ。

死んだ所で一族の損失にはならない。

穢れ子が死ねば、また次に生まれてくる子を穢れ子にすればいいだけの事。

かくして防人は、たった一人闇深い山中に置き去りにされ、鬼狩りをさせられる。

結果は成功だった。

命ギリギリの極限状態に追い込まれた事で、防人の結界使いの一族としての才能が開花したのか。

五歳に満たぬ男児が、生まれて初めての戦いで鬼を封じた。

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