幼なじみの甘いレシピ
とりあえず、電気をつけよう……。
湧き上がりかけた恐怖心を振り払うように、勢いよく立ちあがり、スマホのライトを頼りに歩き出す。
暗いせいでイスに足をぶつけたりしながらも何とか入り口付近までたどり着き、電気のスイッチを入れた。ようやく明るくなった室内に、ホッと息がもれる。
念のため、ドアが開かないか試してみたものの、やっぱり鍵がかけられていて内側からは開けられそうになかった。
……まったく。どうして用務員さんは戸締りする前に、一言声をかけてくれなかったんだろう。
いや、もしかしたら、ちゃんと声をかけてくれたのかもしれない。だけどわたしが考え事をしていたから、気づかなかったんだ、たぶん。
……そう。あのバカコータのことを考えていたから……。
なんだか、無性に腹がたってきた。完全に八つ当たりだけど、コータのせいだ。
あいつのことで悩んでたせいで、こんなことになっちゃったんだ。