幼なじみの甘いレシピ

こんどはメールじゃなくて、電話だ……。またしてもユイから。

イタズラメールでは飽き足らず、イタ電までしてきたのか？　と俺は若干警戒しつつ通話ボタンを押した。


「もしもしー？」

『あ……コータ？』

「おう」


ユイの声は小さく、心なしか弱々しかった。どうやらイタ電ではなさそうだ。

弟が興味丸出しの表情で聞き耳を立てているので、俺はシッ、シッ、と手を振って追い払う。


「てかお前さー、さっきのメール何なんだよ？　新手の暗号か？」

『あ……あれは……っ。急いで打ったからちゃんと出来なくて……てゆうか充電もないし……っ』

「……？」

『コー、タ……っ』


受話器から聞こえるユイの声が、明らかに震えている。

というか、時々「ヒック」とか「グスッ」とか小さく聞こえる。


え？　……もしかして。


「お前、泣いてんの？」