幼なじみの甘いレシピ
『!違ッ……』
ユイの動揺が電話越しでもモロに伝わってきた。ビンゴだ。
泣いていることがバレて相当恥ずかしいのか、ユイは必死でごまかそうとする。が、ヒクヒク・グスグス言ってて全然日本語になってねぇ。
あの、普段は強がりで可愛げの欠片もないあいつが。
女子高生の着ぐるみ着たオッサンみたいなあいつが。
意外すぎる一面に、俺は思わず吹き出してしまった。
「何だよお前ー、泣いちゃってんのかよ」
『なっ、なんで笑うの!?』
「だってお前が泣くなんてレアすぎるだろ」
『……………最っ低!!』
電話越しに大声で罵られ、鼓膜がキーンとしびれた。
「ちょ、お前なあ、電話で叫ぶなよ。俺の耳はデリケート仕様なんだぞ」
すぐさま抗議したものの、ユイは最後まで聞かず一方的に電話を切った。
通話画面から待ち受け画面に変わったスマホを見ながら、ぼりぼりと頭を掻く俺。
……何なんだよ、一体。ヒステリーか。