幼なじみの甘いレシピ
スマホを放り投げて再びゲームのコントローラーを手にした俺に、弟が目を輝かせながらたずねた。
「兄ちゃん。今の電話、女?」
「ん?ああ」
「もうヤッたの?」
「はあ!?」
小4が何ちゅーこと聞くんだ。俺は口をあんぐり開けてコントローラーを落としてしまう。裏腹に、弟は冷静だ。
「だってさあ、俺らのクラスでも付き合ってる奴らいるもん。チューしたって言ってたぜ?」
おいおい小4だろ? 俺が小学生の頃なんて、ドラマのキスシーンを見るだけで真っ赤になる純情な僕ちゃんだったぞ。
まったく、最近のガキは恐ろしい。ていうか羨ましい。ムカつく。
「兄ちゃんは? チューしたことある? その先は?」
「……ねーよ。何も」
「なんでー? 友達の姉ちゃんが言ってたぜ? 高校生になればエッチするんだって」
「……その友達の姉ちゃんとやらが何を言ったか知らんが、世の中の高校生の全てが、そうとも限らねーんだよ」
「つまんねーなー。じゃあ兄ちゃんは、好きな子もいないの?」
「………」