幼なじみの甘いレシピ

スマホを放り投げて再びゲームのコントローラーを手にした俺に、弟が目を輝かせながらたずねた。


「兄ちゃん。今の電話、女?」

「ん?ああ」

「もうヤッたの?」

「はあ!?」


小4が何ちゅーこと聞くんだ。俺は口をあんぐり開けてコントローラーを落としてしまう。裏腹に、弟は冷静だ。


「だってさあ、俺らのクラスでも付き合ってる奴らいるもん。チューしたって言ってたぜ?」


おいおい小4だろ? 俺が小学生の頃なんて、ドラマのキスシーンを見るだけで真っ赤になる純情な僕ちゃんだったぞ。

まったく、最近のガキは恐ろしい。ていうか羨ましい。ムカつく。


「兄ちゃんは? チューしたことある? その先は?」

「……ねーよ。何も」

「なんでー? 友達の姉ちゃんが言ってたぜ? 高校生になればエッチするんだって」

「……その友達の姉ちゃんとやらが何を言ったか知らんが、世の中の高校生の全てが、そうとも限らねーんだよ」

「つまんねーなー。じゃあ兄ちゃんは、好きな子もいないの?」

「………」

< 19 / 62 >

この作品をシェア

pagetop