幼なじみの甘いレシピ
「び……びっくりしたあ」
カウンターの上に積まれていた本が落ちただけだと気づき、安堵の息を吐く。
「幽霊かと思った」
そんなことを無意識につぶやいて、わたしはハッと思い出した。
誰かがまことしやかに噂していた、学校の七不思議……。わたしが知っているのは音楽室とか視聴覚室の幽霊の話だけど、図書室の幽霊があったとしても、おかしくはない……よね。
「……」
とたんに背筋が寒くなる。布に垂らしたインクが広がるように、わたしの胸に一滴落とされた恐怖が、真っ黒のシミを広げていく。
怖い……。
怖いよ。
助けてよ、誰か――……。