幼なじみの甘いレシピ
「え……あ……ああ、うん」
一瞬のためらいのあと、わたしの手よりはるかに大きい手が、右のポケットに忍び込んできた。
それは驚くほどに温かく、そしてまるで心臓がそこにあるかのように、ドキドキが伝わった。
たぶん、10分以上。わたしたちは言葉もなく、隣に座ったまま目も合わさず、ただ手と手をつないでいた。
さすがにだんだん体が冷えてきて、わたしは大きなクシャミをした。ポケットの中の手がビクンと反応し、それがなんだか可笑しくて、コータの顔を見上げて笑った。
コータは一緒に少しだけ笑ったあと、すぐに悲しそうに眉を下げた。
「……どうしたの?」
「ん?」
「コータ、悲しそうだから」